私が結婚をやめて出産しようと決めた10年くらい前は、ちょうど「シングルマザー」という言葉が世の中に広まっていた頃でした。
それまで、「未婚の母」「母子家庭」という言葉しかなかったので、自分の気持ちと何かが違うんだよな~と感じていました。
その頃から最近までに感じたことと世の中の変化を書いてみます。
※子供について、慣例の日本語で「持つ」「作る」などの表記をしている箇所があります。子供を物のように思ってはいません。
非婚の母という言葉をそろそろ使っていこうと思っていたら新語ができていた話
2010年頃:シングルマザーとかシンママとか
シングルマザーという言葉は割と新しいと思っていたのですが、日本でその言葉が最初に使われたのは、1982年の池上千寿子さんという方の著書だとウィキペディアには書いてありました。
ぴのこが0歳の頃、先輩の結婚パーティーに子連れで出席しました。
私は「結婚」と「おめでた」のお披露目も報告もなく単身に赤子だけが増えていたので、久しぶりに会う友人たちにはけっこうびっくりされたのですが、(年賀状やSNSで知っている友人も実物の子供を見ると驚くようです)
「シングルマザー!今流行りの!!」と言われたのを覚えています。
「いや流行ったからなったわけじゃ・・・」とその場は返しましたが、そんな簡単な感じで笑われたほうが私も気楽なので、そのやりとりは楽しかったことを覚えています。
そんな記憶があるので、ああ、シングルマザーって言い方流行って(?)たんだっけ・・・?と思い出しました。
そんなおしゃれ(?)なもんじゃないよ、とも言っていました。おしゃれじゃないか。
シンママという言葉も略称で使われ始めた頃で、私としては、最初の頃こそカタカナでなんでもライトに呼ばれることに少し抵抗はあったものの、そのうち
と、気にならなくなりました。
今も気にしてません。
行政では「ひとり親」と呼びます
正しい呼び方ってことでもないのでしょうが、役所の書類、制度の名称は「ひとり親」で統一されています。(2010年頃〜2019年現在)
お父さんでもお母さんでも、両親のどっちか片方なら、ひとり親。
たしかに、これが一番いろんな場面で適切に使いやすいように思います。
未婚の母
当時(2010年頃)「なんかこう、最初っからわかってて、配偶者なしで産んだ人の呼び方ないかな?」と言ったところ、友人に「未婚の母っていうのがあるよね」と言われました。
その時初めて、
あったわ!そんなの!!と気づきました。
その時はもうぴのこは腹から出された後だったのですが、つまりそれまで私は「未婚の母」という言葉の存在をまったく忘れていたのでした。
それぐらい自分には当てはまらない呼び方だったようです。
なぜしっくりこないのか
なぜなのか?しみじみ考えてみたのですが、「未婚」という読んで字のごとく、「いまだ婚せず。」
私に結婚の意思はあるんだけど、まだしていないだけ。とか、もしくは結婚したいんだけど何らかの事情でできませんでした。という空気がこの名前にただよいます。
私自身もまあ、「結婚だけは死んでもいやだ」と思っているわけではないので、今も「未婚」の状態にはあるのだと思いますが、でもやっぱり「全然結婚したくないしな~」という気持ちは子供の頃から現在まで一貫してあるので、それならばまだ「非婚」のほうが私の意思に合います。
結婚できなかったのではなく、しなかった。
余談。産んでなお、まだおすすめ?される結婚
産後、
「これからいい人に会えるよ」
「この先結婚するかもしれないしね!」
と、男女問わず友人や会社の人々からちょいちょい言われたのにも、うっすらもやもやしました。
「あとは、ねーこさんも
これから幸せになればいいよね!」とか…
老化が進行した今でこそ、そんなことも言われなくなりましたが(それもどうなんだ)、30代のうちは「今からでも!全然!結婚できるよ!!」的なことをよく言われました。
「結婚していないより、している方が幸せ」みたいな言い方する人のまあ~、多いこと。
プチ毒母からあれだけ言われた「誰かいい人いるといいわね」という呪いの言葉。
子を持てた時に、「もう男と付き合えって言われなくてすむんだ!!」ということも大きな喜びのひとつだったのですが、
そんな心境でした。うんざり。
結婚したいなんて1ミリも思ってない私にそういうこと言わないでくれ頼むから。
と思うことは何度もありましたが、何度もありすぎて慣れました。
たぶん「こんにちは」っていうのと一緒なのだろうと思っています。
迷惑な挨拶だ。
「まだまだ(結婚)いけますよ!」って何も褒めてないからな。
いけますよ、って何だw
非婚の母
そんなわけで、じゃあ非婚の母って言葉を使っていこう。と勝手に自分の中で決めました。
それでとりあえず2013年に、hikonhahaというドメインを取りました。
当時調べたら、「非婚 母」でヒットする記事がありませんでした。ほとんどまったく使われていない言葉でした。
今も、「非婚 母」で検索すると(Google)、寡婦控除の話がチラホラ出る程度ですね。
私の思う非婚って言葉の使い方が違ったのだろうか。
非婚出産はネガティブなイメージ
取ったドメインでとりあえずブログを建ててみたのですが、全然続かず、月に1記事も書かないもんで2年ほどでやめてしまいました。
当時、といってもたった5年ぐらい前ですが、今(2019年秋)よりも非婚出産の話は自分から進んで言えない空気が世の中にありました。
少なくとも私にはそう感じられました。
私自身は隠してもいないし人から聞かれたら全然お話できるのですが、聞かれもしないし、聞かれてもいないことを自分からペラペラ話すことでもないしなー、という感じで、進んで語る気はしませんでした。
世の人が求めていない情報を、わざわざ自分の生活を晒して発信する必要もないし、私はよくても子供がかわいそう、とか、あの親やべえとか思われたら、いいこと何もないもんなーと。
余談:ついでにWPが使いにくかったから
あと、当時、WordPressのハッキングが頻発していたため、ブログを書くのも今より面倒でした。
さて書くか…と思ったらまずレンタルサーバーのadminにログインして、DNS情報を入れないとWordPressに入れない。
それがもう面倒過ぎてブログを書く気が失せました。
ただでさえ発信するリスクがある情報なのに、書くのがいちいち面倒ときたら、少ないやる気がだだ下がり。
今年3年ぶりぐらいにブログを開設してみたところ、ずいぶん入りやすくなっていたのでオオッ(・∀・)てなりました。
「選択的シングルマザー」を知りました
そんなわけで、ごく静かに、淡々と、日々子供と暮らしていたわけですが、今年(2019年)の7月に「選択的シングルマザー」という言葉を初めて聞きました。
てか・・・名前長いwww
最初に見たのはハフポストジャパンの記事でした。
発信されている方の記事を読んでみて、あ〜私もあったな〜。と共感する点が多く、気持ちを代弁してもらえたような親近感が湧きました。勝手に。
日本の選択的シングルマザー
選択的シングルマザー。
そのまんまといえばそのまんま…(´∀`)
結局こういう言い方かあ。と苦笑いしたのですが、もとはアメリカのジェーン・マテスさんという方の著書で使われた言葉なのだそうです。その本には「本当は結婚したかったけれど」と書いてあるので、また話が混乱します。
和訳が悪いのでしょうか?
SMC(Single Mother by Choice=選択的シングルマザー)
「シングルのまま妊娠・出産し、自らの意思で1人での子育てを選んだ女性のこと」
と書いてあるので、結婚したかったかどうかはどっちでもいいようです。
了解。
ただ、アメリカでは独身の女性や女性同士のカップルが精子バンクを介して匿名の男性から精子提供を受ける、という選択肢もあるので、日本の価値観とは違うマザーもたくさんいるとのこと。
それでチョイスという言葉になるのだろうなと思います。
日本ではそこまで選択肢がないので、「婚外子として産むかどうか」の選択になると、チョイスの意味がアメリカとは違っているのかなと思います。
日本が世界の中でも堕胎の多い国であることは私も自分が産むまで知りませんでした。
アメリカやフランスとの違いはともかくとして、こんな日本でも顔を出して発信できる人たちがついに現れたのだなあ。ということに私は感嘆していました。
驚きというわけではなく、やっと表に出て話してもいい時代が来たのだな〜。としみじみとした感じです。
発信しやすくなりました
5年前から比べて、「結婚はおいといて、子供のいる人生にしたかった。」ということを話しやすい空気に世の中が変わってきているように感じます。
感覚だけなので、私が慣れただけかもしれません。
今も批判する人、受け入れられない人、違和感を感じる人はいるのでしょうが、「嫁がずに産んだら即クソビッチ認定」みたいな雰囲気は薄まっているように思います。
まとめ
呼び方はこれからも変わっていくでしょう
もともと結婚をするのかしないのか、子供を持つのか持たないのかはセンシティブな案件なので、非婚だからこう、選択的だからこう、ってひとくくりにはできないものではあります。
選択的シングルマザーも、なんとなくざっくりとしたカテゴライズのひとつで「今の時代の呼び方」なのだと思います。
またほかのパターンができたり、選択的シングルマザーの中でも枝分かれしたりしていくと新しい呼び方が登場するのかもしれません。
多様性が認められる社会に
カテゴリーができて呼称がつくというのは、そのカテゴリーに属する人が一定数に達して、明らかに増えているということと、社会からの認知のしるしなので、そのぶん発言がしやすくなるのだなあと感じました。
私自身が非婚出産を特別誇っているとか人におすすめしたいという気持ちは最初から現在まで全然ありませんが、過去の私と同じ気持ちで悩んだり、困っている人が今後も現れてくるのなら、私のケースもひとつのサンプルぐらいにはなるのかもしれません。そう思って時々書きとめています。
当事者である私も、産んだ当初こそあれこれ考えましたが、今となっては呼び方は割となんでもいいかなーと思っています。
結婚でも離婚でも未婚でも非婚でも、選択が積極的でも消極的でも、血縁がなくても、
お母さんはみんな、マザー。
人それぞれ、家族のかたちも多様化したら、カテゴライズが追いつかなくなると思うので、
マザーはマザーだよ。
ってなっていくんじゃないのかなと勝手に楽観視しています。
って、話そこから…?
という時代が来るんではないかなー。ぐらいに思っています。